餞の言葉
「俺が君たちに伝えたいのは、あと数年、子供でいられるうちに子供としての体験をしてほしいという事だ」
落ち着いた声で話す先生の言葉は、あたしたちの心に浸透していく。
あたしはバカだ。
卒業したら、大人になれるんだと思ってた。
だから告白した。
大人の女として、見てもらえると思ったから。
昨日の先生の言葉の意味を、あたしはようやく理解する。
餞の言葉は、同時に昨日のあたしへの拒絶でもあるんだ。
「大人になれる」と言ったあたしに、「子供でいろ」とあなたは言う。
子供の期間を大切にできないあたしには、あなたを振りむかせれるような大人にはなれない。
そう、言われているんだ。