餞の言葉
先生は笑う。
あたしを、教師の目で眺めながら。
あたしが先生から女として見られる日なんて、きっとやってこない。
それでも。
「これ貸してて、先生。いつか、絶対会いに来るから」
「……わかったよ。卒業おめでとう」
「ありがとう、先生」
そうして、あたしは歩き出す。
階段を降り、昇降口を出て、今だ寒い風の吹く外へと飛び出す。
朝降っていた雨は雪に変わっていて、白い小さな結晶がふわふわ舞っていた。
きっとこれが、今年最後の雪になるんだろう。