餞の言葉


「なんだ?」


溜息とともに落とされる言葉に心は傷つくけど。
こんなことで落ち込んでなんかいられない。

だってもうあと1日しかない。

先生を見ていられるのは、今日と明日の2日間だけ。

卒業式の当日にはきっと、二人きりになれるようなチャンスは無いから。

頑張るのは、今しかない!!


「先生」

「なんだ」

「あたし、先生が好き」


滑るように飛び出した言葉とは裏腹に、心臓はバクバクと激しい動きを繰り返す。

ちょっと止まって。
うるさすぎる。

自分の動悸で返事がきこえないなんて間抜けすぎるじゃないの!!

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