餞の言葉
あたしの全身をカーッと血が駆け巡った。
恥ずかしい、恥ずかしい。
自分から告白したのに、キスされそうになったくらいで怯えるなんて。
先生、きっとバカにしてる。
「な、なによっ」
「そう言うことだよ。山名は俺の事が好きな訳じゃない」
「そんな事無いですっ」
「教師と言うのは君たちにとって、絶対に傷つけるような事はしない体のいい大人なんだ。
この狭い、『高校』という世界の中でね。
今から広い世界に出ていく君が、そんなものに縛られる必要はないよ」
「先生」
「もう帰りなさい。明日は卒業式だ」
「……はい」