金平糖*days
バレンタイン*マジック
 ようするに、空気みたいなものなんだと思う。
 そこにあることが当たり前になっていて、すでに有り難みとかそういうものは全然感じなくなってる。
「家族」よりも遠いけど、「友達」よりも近い。ちっちゃい頃から、ずーっと一緒。普通に遊ぶときや学校の行き帰りはもちろんのこと、親同士が仲良しだったこともあって旅行なんかにもかなりの確率で連れだって出掛けた。
 だから私の記憶の中には必ずと言っていいほど、臣くんが出てくる。臣くん、本当は「正臣」という名前なんだけど、赤ちゃんの私は「まさおみ」という長い名前を上手に発音することが出来なかったんだって。
 で、いつの間にか「臣くん」。何となく改めることもしないまま、今日まで来ちゃった。
 うん、いつの間にか。本当にいつの間にかって感じで、臣くんは高校2年生。いわゆるセブンティーンってやつだ。ひとつ年下の私は、高校1年生。臣くんと同じ高校に、ギリギリセーフのしっぽの先で合格した。
 志望校を決めるときは正直、五分五分だったのね。だけど、どうにか入学出来て良かった。だって、ウチの高校はここら辺で唯一の普通科共学。楽しいスクールライフを彩るにはやっぱ男女共学よ。
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