金平糖*days
「え? 何か顔についてるかな?」
臣くんが急にそんな風に言うから、慌てて首を横に振った。ああん、もう。こっそり眺めていたんだから、視線に気付かないでよ。だってさ、臣くんって何というか……すっごい綺麗な顔をしてるの。髪の毛は真っ直ぐでさらさらしていて、それをこざっぱりとカットして清潔感に溢れてる。前髪から覗く太めの眉、きちんと二重の切れ長の目、確かな存在感を保ちながらもくどすぎない鼻と口。背だって高い。
学年にひとクラスしかない理数科は特別に優等生が揃ってるところ。燦然と輝く「G組」のクラス章がその印。昔ながらの学ランの詰め襟にびしっと決まっている。授業だけでも私たちの普通科よりも週4時間も多いって言うのに、その上に陸上部と水泳部を掛け持ち。さらに書道部と放送部と新聞部にも籍を置いてるって話だ。でもって、お約束に生徒会もやってる。
「それはそうと……、くるみは昨日も遅くまで起きていたでしょう? でも、勉強していたんじゃないよね、机の電気は点いてなかったし」
ふうっとひとつ息を吐いて、臣くんは少し険しい表情になる。整った顔だけにかなりの威圧感。幾度となく見慣れてるはずだけど、それでも思わず後ずさりしちゃうよ。
これもお約束で、臣くんの部屋は私の部屋の真向かい。さすがに「屋根伝いに……」って距離じゃないけど、それでもカーテン越しにシルエットで色々ばれちゃうのね。ああ、雨戸閉めれば良かった、失敗だわ。
「目の下、クマができてる。どうしたの? 何か心配事かな。……困ってることでもあるの?」
別にそんなんじゃないから、再び首を横に振る。そこで「大丈夫だよ」ってにっこり出来れば良かったんだけど、そうしなかったら臣くんはまた溜息をひとつ。
「はいはい、もう詮索しないから。ほら、遅れるといけないから早く行こう。今週は週番なんでしょう?」
臣くんが急にそんな風に言うから、慌てて首を横に振った。ああん、もう。こっそり眺めていたんだから、視線に気付かないでよ。だってさ、臣くんって何というか……すっごい綺麗な顔をしてるの。髪の毛は真っ直ぐでさらさらしていて、それをこざっぱりとカットして清潔感に溢れてる。前髪から覗く太めの眉、きちんと二重の切れ長の目、確かな存在感を保ちながらもくどすぎない鼻と口。背だって高い。
学年にひとクラスしかない理数科は特別に優等生が揃ってるところ。燦然と輝く「G組」のクラス章がその印。昔ながらの学ランの詰め襟にびしっと決まっている。授業だけでも私たちの普通科よりも週4時間も多いって言うのに、その上に陸上部と水泳部を掛け持ち。さらに書道部と放送部と新聞部にも籍を置いてるって話だ。でもって、お約束に生徒会もやってる。
「それはそうと……、くるみは昨日も遅くまで起きていたでしょう? でも、勉強していたんじゃないよね、机の電気は点いてなかったし」
ふうっとひとつ息を吐いて、臣くんは少し険しい表情になる。整った顔だけにかなりの威圧感。幾度となく見慣れてるはずだけど、それでも思わず後ずさりしちゃうよ。
これもお約束で、臣くんの部屋は私の部屋の真向かい。さすがに「屋根伝いに……」って距離じゃないけど、それでもカーテン越しにシルエットで色々ばれちゃうのね。ああ、雨戸閉めれば良かった、失敗だわ。
「目の下、クマができてる。どうしたの? 何か心配事かな。……困ってることでもあるの?」
別にそんなんじゃないから、再び首を横に振る。そこで「大丈夫だよ」ってにっこり出来れば良かったんだけど、そうしなかったら臣くんはまた溜息をひとつ。
「はいはい、もう詮索しないから。ほら、遅れるといけないから早く行こう。今週は週番なんでしょう?」