時計兎
猫が鴉を仕留める外の音で目が覚めた。

大学生の冬
最近通学に便利だからと駅の近くのアパートに引越し、一人暮しをしている。






彼は火燵に入り、一晩そのまま眠ってしまったようだ。



――お腹空いたな



彼は物憂げに立ち上がり、冷蔵庫を開けた。

昨日の夕食はカップ麺で済ませていたので、朝食だけはしっかり取ろう、そう思っていた。




しかし、冷蔵庫にはなにもない。




彼は非情な現実を呪いつつ、コートを羽織り身支度を整え、家を出た。







よほど飢えていたのだろう。
外では猫が鴉を喰らっていた。
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