時計兎
「寒いならこれ着てて下さい」

久遠は優しく微笑んだ。


親切心からの行動だった。


だが、
少女は不思議そうな顔をし、久遠を見上げた。

「手触りは悪いし、作りが粗い。何これ?作業衣?」

見せびらかすようにその場を一回転し、太陽が弾けるようにクスクス笑った。


「でも温かい…。気に入った」


人の優しさに久々に触れたんだ
少女はそんな悲喜のこもった目をしていた。



「うん決めた。君についてく」
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