時計兎
コーヒーの苦い香りで頭が冴えたのか、平静を取り戻した。
とりあえず電話番号や住所ぐらいは聞き出そう。
冷静な思考がそう告げた。
さっきも聞き出そうとしたのだが邪魔が入った。
近くに邪魔な店員がいないことを確認し、尋ねた。
「住所は?」
「知らない」
「電話番号は?」
「わからない」
「来た方角」
「存じ上げておりません」
何故急に謙譲語
じゃあ苗字は
「それはわかるよ。
た・ち・ば・な、だよ」
た・ち・ば・な
橘?
――え
とんでもない拾いものをしたものだ
ここらでは知る人ぞ知る
大豪邸の娘さんとは。
とりあえず電話番号や住所ぐらいは聞き出そう。
冷静な思考がそう告げた。
さっきも聞き出そうとしたのだが邪魔が入った。
近くに邪魔な店員がいないことを確認し、尋ねた。
「住所は?」
「知らない」
「電話番号は?」
「わからない」
「来た方角」
「存じ上げておりません」
何故急に謙譲語
じゃあ苗字は
「それはわかるよ。
た・ち・ば・な、だよ」
た・ち・ば・な
橘?
――え
とんでもない拾いものをしたものだ
ここらでは知る人ぞ知る
大豪邸の娘さんとは。