時計兎
いつも通う道にある大きな屋敷
あの屋敷なら偶然にも自分の住むアパートの近くではないか。




彩夏がどこから逃げてきたかはわかった。
なら、これ以上面倒を見る理由もないだろう。

ご両親も心配しているだろうし。




久遠は立ち上がり、伏せられていた請求書に目を通した。


1785円也


バイト生活の大学生には厳しいが致し方ない。
嘆息した。




「ねぇ…」

彩夏が潤ませた目と共に懇願するようにこちらを凝視した。
彩夏は税抜き1500円のステーキにまだ手をつけていなかったようだ。


手には二本のフォーク



「切れない…」




久遠は思わず笑った。
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