時計兎

お泊り

ﾊﾊﾊｯ―

ファミレスを出た後も久遠は声高に笑った。




「…笑わなくてもいいじゃん」

屋敷への道を並んで歩くその横で拗ねたように彩夏は呟いた。



フォーク二本でステーキを食べようとする人は初めて見た。

どうやら彩夏は箱入り娘を地で行くような、そんな生活をしていたらしい。
聞いてみると日常の食事はいつも和風で、箸以外で食べることは初めてとの事だった。




あれほどの屋敷だ。
よほどの名家で規律も厳しいのだろう。