時計兎
それは白いぬいぐるみの置かれている中から彩夏をじっと見つめている。
その赤い目は悲哀に満ちながらも妹が姉を気にかけるような目でもあった。
それは手乗りほどの大きさだが、他のぬいぐるみ達に押し潰されていても、そこだけは違う軸上にあるような違和感があった。
白い空間にぽっかりと赤い穴が開いているような存在感。
そして大きな耳がある。
そう――
それは真紅の兎
異様にして、異質。
兎の腕の中には小さな時計が糸で縫い付けられている。
壊れているのか時計の機能は停止している。
ゼンマイ式の時計であった。
部屋に似合わぬぬいぐるみだったが、特に彼女はその片手に乗る程度の小さな兎を気にしていないようだった。
彼女の髪の色はそのぬいぐるみに近い赤色であるし、その日の服の色も気分で決める。
ただ白が好き。
それだけの事のようだ。
その赤い目は悲哀に満ちながらも妹が姉を気にかけるような目でもあった。
それは手乗りほどの大きさだが、他のぬいぐるみ達に押し潰されていても、そこだけは違う軸上にあるような違和感があった。
白い空間にぽっかりと赤い穴が開いているような存在感。
そして大きな耳がある。
そう――
それは真紅の兎
異様にして、異質。
兎の腕の中には小さな時計が糸で縫い付けられている。
壊れているのか時計の機能は停止している。
ゼンマイ式の時計であった。
部屋に似合わぬぬいぐるみだったが、特に彼女はその片手に乗る程度の小さな兎を気にしていないようだった。
彼女の髪の色はそのぬいぐるみに近い赤色であるし、その日の服の色も気分で決める。
ただ白が好き。
それだけの事のようだ。