時計兎
――早く寝よう

そう彩夏に提案した。

なぜなら眠れば明日になるから。
明日になれば彩夏は帰る。

久遠は今日中に彩夏を返すことを諦めていた。

「まだ九時だよ!?寝るには早すぎるよ!」

驚きと共に、不平を漏らす彩夏。

そんなことはお構いなしに歯磨きや入浴、着替えを済ませ就寝の準備を整えた。

また彩夏の不平。

「なんで着替えがシャツなのさ〜!!…もしかして悠君の趣味?」

違う。それしかないからだ。
だが面倒なので反論はせずただ一つのベッドを明け渡し、彩夏を寝かしつける。

いつもの寝床がないので久遠は床に布団を敷き、寝息を奏で始めた。
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