時計兎
――え

わからない


少女は曲がった左手薬指を右手で探る


確かに直角に曲がっている

指は本来あった位置に戻ろうともしていない



――痛っ…



少女は激痛と苦悶の表情を浮かべ思索した



――きっと何かにぶつかったのだ



そう結論づけ、窓に向かった
@警官はまいたようだが、油断はできない。
もし、顔を見られて誘拐犯疑惑をかけられては面倒。

それだけは避けたい。

緊張が胃液と混じり、腹を重くする。臆病な久遠は物影から出ることができなくなっていた。

――そういえば彩夏は?

自問自答し、辺りを探す。
見当たらない、息が跳ねる。

――どこだっ?

彩夏はそんな久遠の様子を見ていたのか闇の中から出てきた。冷笑し、獲物はすでに籠の中、とでも言いたげだった。

「悠君の家に泊めてよ…」
猫撫で声、勝利を確信したような笑みを浮かべ、ささやく。
さきほどのような、哀願する様子は全くない。

「ダメです。家に帰します」
@――コホンッ

右手を口元に添え、彩夏の喉が震える。
大声コンテストの審査のように声を出す準備をしているようだ。
そして息を深く吸い込み、両手を筒代わ
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