さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―

「あず、どうしたの?」




「す、丞が・・・。」



息切れと、沖田さんを見た瞬間に溢れてきた涙の嗚咽で、上手く言葉を発せられない。




目で必死に訴えても、沖田さんは困ったように顔をしかめる。




「ここかぁ!!」




「ひーっ!」



いやああ!



ここまで追いかけてくるなんて。



「来ないで、来ないで、馬鹿ぁ!」




全力で丞に抵抗する。



なによ、この変態男!



やっぱり私は硬派が好きなのよ!



いーっと丞を威嚇するけれど、丞はにやりと笑った。




「総司、そいつをよこせ。」



はあ!?



よこせ、って貴方何様なの!




「一体どうしたんですか?あず、泣いてるみたいだし、山崎さんには簡単に渡せません。」




沖田さんは強く言い返した。




その言葉に胸がぎゅっと締め付けられる。



うう、沖田さん!




ここなら無事だろうと思って、私は沖田さんの隣に避難した。


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