さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
「原田さん、見てばっかりいないでちょっとは手伝ってくださいよ!」
「なんで俺がて手伝わなきゃいけねえんだ。てか、なんでお前そんなにイライラしてんだよ?」
イライラ?
確かにそうかもしれない。
あの日、刀を握って人を斬ったことが未だに胸に引っかかっていて、寝られない夜が続いていたから。
あの断末魔が聞こえてくる気がして。
「大丈夫かよ?」
原田さんが心配そうに覗き込んでくる。
顔が近くて思わずパッと引いてしまう。
「わ、わりいっ!」
原田さんは私から離れて、左手で顔を覆った。
その時背後から声がした。
「原田さん、ご飯どうぞ。」
にっこり笑ってご飯を差し出したのは沖田さん。
代わりによそってくれたみたいで。
「ありがとうございます。」
一緒に買い物に行って以来、急速に関係が良くなった気がする。
こうして私を支えてくれる些細な気遣いも嬉しくて仕方ない。
「いいんだよ。いつも頑張ってくれているから、俺も手伝わないとね。」
沖田さんの言葉にまた胸がキュンと締め付けられる。
「頑張りますっ!」
思わず語尾が高くなる。
沖田さんが笑うと私も嬉しい。