さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
「それが今流行りのファッションなんですか?」
そーっと尋ねる。
最近テレビとか雑誌とか読まないでいたから、流行に取り残されちゃった?
「ふぁっしょん?」
予想も出来ない答えがきた。
もはや、答えじゃないけれど。
三人は眉間にしわを寄せ、私を舐めるようにじろじろと見てくる。
私、そんなおかしいこと言った?
「近藤さん、やっぱりこの子おかしいですよ。さっさと殺っちゃいましょうよ。」
一番小柄な男の人が口を開いた。
殺る?
お芝居でもしているんだろうか?
ここは映画村だとか?
ふいに懐に視線を落とす。
「かっ、刀!?」
いやいや、刀はダメでしょ。
明らかに法律違反。
なんていう法律かはわからないけど。
「これはなんのテレビの撮影ですか?」
きっとそうだろう。
戦国時代のドラマみたいな、そんな感じ。
私はただ肯定されることを願っていた。
「キミは、頭がおかしくなっちゃったのかな?」
さっき私を殺そうといった人がにこり、と口角をあげる。
違う。
尋常じゃないくらいの常識の食い違いに、熱がサーッと退いていくのがわかった。