さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―



「辰之助、この子なめてかからない方がいいよ?」





沖田さんの言葉にぎょっとする。





余計なこと言わないで、なんて思いながら。






「そんなこと言ったってコイツ女じゃないっすか。」





辰之助さんは沖田さんの言ったことを、完全に馬鹿にしているようだ。





「まあ、手合せしてみるといいよ。」





辰之助さんは少しむすっとしながら竹刀を渡してきた。





「ありがとうございます。」





久しぶりに握ったこの感覚。





懐かしいなあ。





「総司、俺に審判させろ。」





沖田さんの肩に手を乗せて、身を乗り出してきたのは…





「土方さん、お願いします。」





え!?





この勝負土方さんが審査するほどなの!?





辺りを見渡すと、鍛錬中だった剣士たちは私たちを囲んで見学しているし。


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