さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
ヤバいよね、この状況。
「沖田さん!」
助けを求めようとして、沖田さんに声を掛けるもにっこり微笑み返してくるだけ。
「頑張ってね。」
そんなこと言われても!
みんなの視線が恥ずかしい。
「あずちゃーん!頑張れー!」
声のする方向には永倉さん、藤堂さん、斎藤さん、そして原田さんが肩を並べて座っていた。
「面白そうな勝負してるなあ。頑張るがいいさあ。」
こののん気な声は近藤さん。
隣には山南さんが腰を落ち着かせている。
近藤さん久しぶりだなあ。
「始めるぞ?」
近藤さんの笑顔を見ていたら、この状況を忘れてしまっていた。
辰之助さんはすでに竹刀をぐっと握っている。
私も静かに竹刀を構えた。