さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
まさか、原田さんと手合せすることになるなんて。
「いくらなんでも、原田とは歳も心がないんではないかの?」
ずっと黙って見ていた近藤さんが見かねた様子で口を開いた。
「…このまま隊士たちがなめられたままで終われるわけないじゃないですか。」
いやいや、なめてませんて。
そう否定したいけれど、土方さんに話仕掛けられる状況ではない。
近藤さんも土方さんの剣幕に圧されてシュンとなってしまった。
「原田、わかってるだろうな?」
「いっちょ任せてくださいよ。」
原田さんは左の口角だけ、にっと持ち上げた。
自信に満ち溢れた表情。
なんでよりによって原田さんなの、と思っていたけれどどうしてかこの勝負負けたくないと思った。