さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―



「お前が剣を使えるなんて、思ってもみなかったぜ。」





白い歯を見せて笑っているけれど、目は決して笑っていない。





「真剣勝負ですよ、原田さん。」





この感覚は、剣道個人の全国大会の準決勝で翼とやりあった時以来な気がする。





「当然だ。」





再び竹刀に力を込める。





「始めっ!」





再び土方さんの声がこだまする。





「はあっ!」





――バシッ





互いの竹刀が、しんとした稽古場に音を響かせぶつかり合う。





「…ッ!」





竹刀から伝わってきた重みはずんと私の腕まで伝わる。


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