さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
翼 side
「はあ…。」
これで、何度目のため息だろうか。
「はあ…。」
あれから2カ月が過ぎた。
時間が流れても、思い出す度にずんと胸が重くなる。
一緒に帰ろうと言った時、当然帰ってくる答えはYESだと思っていた。
それなのに、あんなに帰りたいと言っていたのに確かにあずは揺れていた。
困ったような、戸惑ったようなあの瞳。
決して、帰りたいとは言わなかった。
それはあの男がいたから?