さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
赤に染まって
誕生日
あのうっとおしいくらいの蒸し暑さも、もうどこかへ行ってしまって。
季節は秋に移りかけているんだな、と感じる。
「実は今日、総司の誕生日なのです。」
「沖田さんの?」
頷く。
いつものように私の様子を見にきた山南さんが、こっそり秘密を打ち明けるように教えてくれた。
「一之瀬さんの方から是非祝ってあげて貰えませんか?きっと喜ぶと思いますよ。」
にっこり、笑う。