さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
「篠原、気配消すなよ、驚くから。」
篠原はごめん、という様に両手を顔の前にやった。
やっぱり、可愛い。
「それで翼の愛する人と連絡が取れるんでしょ?だったら、迷ってないでかければいい。」
「あのなぁ、簡単に言うけれど気まずい時だってあるだろ?」
正直今電話をかけるのは気まずい。
もし帰りたくないなんて言われたらどうする?
そんなことばかりを考えてしまう。
明日かけよう、と毎日繰り返して10日以上が過ぎてしまった。
時間がたつにつれて発信ボタンを押すのが怖くなる。