さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―


少し潤んだ瞳で、強く俺を射る。





あずが遠くに行ってしまう気がする。




いや、もう行ってしまったのかもしれない。





俺には、無理だ。





「私、ここで…」






「みんな、どうしているだろうね?」





にっこりと笑って見せる。





我ながら腹黒いと思う。





「俺らのこと心配してるだろうね。」





現代の話題を持ち出して、みんな待ってるんだよ、とでも言えばあずは帰る道を選ぶ。






あずの性格上、自分と他人なら、後者を選ぶにきまっているから。




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