さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
「総司にそこまで言われたんじゃ仕方がねぇ。今日のところは見逃してやる。」
はぁっとため息を一つはいて、土方さんはお許しをくれた。
良かった!
沖田さんと目を合わせて微笑みあう。
「ただーし!」
土方さんは、にやりと笑った。
「次はねぇからな。」
そう言って刀に手を伸ばした。
不屈な笑みに背筋がゾクッとする。
「はは…縁起でもないこと言わないでくださいよ。」
「そうですよ、土方さん。」
私たちはと言うと、思わず苦笑しながら屯所に逃げるように戻って行った。
「そう言えば、烝が帰ってきていたぞ!」
その言葉を聞き取ることなく。