さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
役目
「盗み聞きなんて、随分悪趣味だね。」
「…申し訳ない。でも…」
「でも、何?」
沖田さんの目は暗闇にいるせいか、青白く光っている。
私は口を出すことができずに、じっと二人の会話を聞いていた。
「局長に言うべきです。」
「あの人には心配を掛けさせたくない。」
「しかし…!」
「うるさい!」
夜の屯所に沖田さんの声が響く。
「…もし、これを露見に曝したら、山崎さん。いくら貴方でも容赦しない。」
低く地を這う声。
烝もそれには言い返せないようで、ぐっと唇を噛締めている。