さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
部屋
「あずみちゃん、早く!」
「待ってください、順番ですから!」
沖田さんと原田さん、そして後から呼んだ隊士さんたちのおかげで、なんとか夕餉は間に合った。
お釜で炊いたご飯や、おかずを一人一人に配っていく。
「…きゃ!」
木の出っ張りに突っ掛ってしまった。
屯所は日が暮れると真っ暗になる。
勿論、スイッチを押せばパッとつくような電気もないから、こういうみんなが集まる場では蝋燭(ろうそく)で対応している。
移動の時は行灯、持ち歩ける照明、あんどんを使うんだよ、と沖田さんが教えてくれた。
それにしても、不便すぎる。
いくらみんながいるからといえ、この暗さは怖い。