Vrai Amour ~妃奈の場合~
「これ・・・」


「貸して」

恒輝さんはすっと箱をとり、中から指輪を取り出した。


「妃奈」

相変わらず、そう呼ばれると体が震える。

「帰ってきたら、すぐ僕と結婚して」

するりと指にはめられた指輪はお店のライトがキラキラと反射してまぶしいくらいだった。

「それともうひとつ」

恒輝さんがテーブルの上をすっとすべらせたのは、カードキー。






「今夜は僕と過ごしてくれる?」




その言葉にどんな意味が含まれるのか、一瞬にして悟る。

心臓はどくんどくんと激しく脈打ち、一気に顔が熱くなった。
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