Vrai Amour ~妃奈の場合~
「・・・妃奈」
嫌・・・じゃない。
私もずっとそうしたかった。
でも、もしその一線を越えてしまったら、海外で2年、本当にがんばれるのだろうか。
会いたくて会いたくてどうしようもなくなってしまうんじゃないか・・・
すると、恒輝さんが指輪をはめてくれた左手を優しく握る。
「・・・妃奈が欲しい」
まっすぐに見つめられ、その言葉に気がつけば首を縦に振っていた。
優しい恒輝さんがこんなふうにまっすぐに求めてくれるなんて初めてだった。