Vrai Amour ~妃奈の場合~
「気をつけて」

「うん」

「毎日電話して」

「うん」

「僕も会いに行くから」

「うん」

私たちはしばらく抱きしめあって、別れを惜しんだ。



自分で決めたこととはいえ、やっぱり離れるのは寂しい。


でも、あの夜があったから私はひとりでも頑張っていける。


私を愛してくれている恒輝さんのために、頑張るんだから。


「寂しいからって浮気しちゃだめだよ」

「寂しく、なるかな・・・やっぱり」

「今こんななのに、ならないわけがないでしょ」

そう言って、恒輝さんの手がぽんぽんと頭をたたく。

「でも、浮気なんてしません。恒輝さんしか好きにならない」

再びぎゅっと恒輝さんの腕の中に抱きしめられる。



そんな二人を搭乗アナウンスの声が引き離そうとした。
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