Vrai Amour ~妃奈の場合~

「あの・・・」

「はい」

「・・・結婚はいつごろの予定で・・・?」

私は自分の思いを伝える前に、まずそれを質問した。



「妃奈さんはこれから大学生だから、卒業してからでいいかな、と思ってますが・・・もし、何かやりたいことがあるのなら・・・」

恒輝さんのその優しい心遣いに、やはり私なりに誠意を持って答えたいと思う。

「・・・私を、秘書にしてください」

「・・・え?」

恒輝さんは私の答えを予想していなかったのか、きょとんと私を見つめる。

「私も西園寺家に嫁ぐのが義務だと思っています。だけど、それだけじゃなくて、恒輝さんの想いにもちゃんと答えたい。家でだけじゃなく、会社でもあなたのことを支えたいんです」

一気にそう言うと、胸がドキドキしてまるで告白したあとのようだった。


そう、それに、どうせなら一生懸命勉強を頑張ってきたのも無駄にしたくないし、一度は社会にも出てみたい。

どんな場所で恒輝さんが働いているのかも、知っているべきだと思う。
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