Vrai Amour ~妃奈の場合~



「妃奈・・・」



恒輝さんの甘く優しい声が放つ響きに、胸がどくんと波打った。



「って・・・呼んでも、いい、ですか?」

「・・・」

あまりにびっくりして、声が出せなかった。

嫌じゃない。

むしろ、そう呼んで欲しいと思った。

なのに、驚きすぎて声が出ない。




「・・・あ、あの・・・名前、可愛いなって思って・・・それで・・・僕もそう呼びたいって・・・」


呼び捨てで呼んでしまったことに動揺した恒輝さんは慌ててその理由を並べる。



「・・そう、呼んでください」


思わず私も恥ずかしくなって、小さな声で答えてしまったけれど恒輝さんはその答えを聞いて安心したようにほっと息をついた。

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