Vrai Amour ~咲子の場合~

『・・・・もしかして、さっちゃん?』


そう呼ばれるのは何年ぶりだろう。

駿くんの声はとても愛しく甘く響き渡り、胸をぎゅっと締め付けた。


「駿、くん・・・?」

震える胸を押さえながら、なんとか声を絞り出した。

すると、受話器の向こうから心配そうな声が聞こえてきた。

『どうしたの?明日は出発の日だろう?早く寝ないと・・・』

駿くんに言われて、改めて明日からはもう会えないんだということに気づく。

そう思うと胸が張り裂けそうに痛み出した。


「眠れなくて・・・」

いつもだったら眠くなってしまうクラッシックも今日はまったく耳に入らない。

『誰かにホットミルクでも作ってもらって・・・』

そう言ってくれるのは駿の優しさだ。

自分が会いに来てはだめだということもわかっている。

なのに、私はどうしても我慢できなかった。

甘えてるってわかってる。

でも、どうしても・・・・
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