Vrai Amour ~咲子の場合~
「ごめんね、駿くん」
そう言うと、駿くんはそろりとウォークインクローゼットから出てくる。
改めて、対峙するとどうしようもなく想いが溢れてきて泣きそうになってしまった。
私は思わず、その胸に顔を埋める。
「え?」
困惑した声が聞こえる。
でも、もうだめだ。
明日以降、一生あなたと想いを叶えられないというなら・・・
今夜だけ・・・
ううん、この数時間だけでいい。
「・・・抱いて」
ほんの少しの間だけ、あなたのものでいたい。
あなたのためだけに、私はきれいになったのだから。
私は震える手でバスローブの紐を解いた。
肩からゆっくりとバスローブを落として、まっすぐに駿くんを見つめて言った。
「ずっと、好きだったの」