Vrai Amour ~咲子の場合~

「はぁ・・・」


昌弘さんが部屋に入ってくるなり、ため息をついた。


シャワーを浴び、髪をとかしていた私は慌てて振り向いた。


「大丈夫?」

今まで父と話していたようだ。

もちろん、跡取りのことで。


「大丈夫だよ」


昌弘さんはゆっくりとベットに横になると、手招きで私を呼んだ。


ブラシを置きベットに近づくと、伸びてきた腕にしっかりと抱きとめられた。


「・・・もう少し頑張ってみる?」


「え?」

聞き返すと、昌弘さんはバスローブの紐を解いた。

そのままベットに組み敷かれ、深く唇が重なった。

ひさしぶりの行為に、胸がドキドキしている。

ここ数年は子育てに追われて、なかなか夫婦の時間もとれなかったからだ。



「・・・愛してるよ、咲子」


電気をつけたまま、バスローブを剥ぎ取られ私は一瞬躊躇した。
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