Vrai Amour ~咲子の場合~



昌弘さんが残してくれた宝物



私はそう思い、毎日おなかの赤ちゃんに語りかけた。



子供のために、再婚することも提案されたけれど

私は断固として断った。






なんとなく、予感していたのだ。


この子は男の子だ、と。









「・・・先生、どちらですか?」


検診のたびに先生に子供の性別を聞く。


「そうですね。今回は男の子です。良かったですね」


跡継ぎとして男の子を、と言われ続けていたことは先生も知っている。


正直、ほっとした。


これでもう再婚の話は出ないだろう。


上の三人の娘たちも初めての男の子にとても喜んでいた。
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