Vrai Amour ~咲子の場合~
ある夜、その身体の火照りをどうしようかと部屋を出たとき

廊下で15歳になった九条秋緒と鉢合わせた。

秋緒は昌弘さんのお兄様の息子、ようするに甥にあたる。

少しだけ昌弘さんの面影を持っている秋緒。

秋緒が私に興味を持っているのも知っていた。

「秋緒くん」

気がつけば声をかけて、自分の部屋に引き込んでいた。

秋緒は15歳の割りに背が高く、大人びた顔つきをしている。

きっとそれは両親に捨てられたという過去が彼を人間不信にしているせいだろう。

「・・・さ、咲子さん」

突然の出来事に秋緒は驚いて目を見張った。

「・・・ど、どうしたんですか?眠れないんですか?」

時計を見るとすでに0時を回っている。

「ん・・・そうなの」

そう言いながら、私は秋緒の肩から腕を指先でなぞった。

触れてみると、文武両道の九条家らしく秋緒の腕はとてもしっかり筋肉がついている。

抵抗できずにいる秋緒の身体を指先でなぞると、秋緒は小さく震えた。
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