Vrai Amour ~咲子の場合~
あの日から、罪悪感がじわじわと押し寄せてきた。
秋緒が帰り、疲れた身体をベットに沈みこませると
駿との初めての夜のことを思い出した。
一生忘れない思い出、と胸の奥にしまいこんでおいた思いが
一気に溢れ出てくるようだった。
私は隣の部屋にいる朝比奈に聞こえてしまわないように、声を押し殺して泣いた。
ずっと、ずっと本当に欲しかったのは駿だった。
その思いに気づいてしまうと、秋緒との関係は続けていけなくなった。
秋緒は私を求めてくるけど、それは真実の愛ではない。
お互いが寂しい隙間を埋めるためだけに、溺れてしまったのだ。