Vrai Amour ~斗真の場合~
数時間後

俺はまるで別の世界にいた。


「有絵・・・」


真っ白な有絵の頬に触れる。

大好きだったあの笑顔にはもう会えない。

ただ静かに涙がとめどなく流れ落ち、自分がどこにいるのかも見えなくなってしまった。




これから先、俺はどうやって生きていけばいいんだ・・・



有絵と生まれてくる子供と二人

ただ平凡に絵を描きながら幸せに暮らしていくという夢が

もう二度と叶えられなくなってしまった。




俺にとって有絵の存在は本当に大きいものだったと

失ってから気づく。

ぽっかりと穴が開いてしまった場所には

いつも有絵の笑顔があったはずだ。

もうすぐそこにもうひとつの笑顔が加わるはずだったのに・・・
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