Vrai Amour ~斗真の場合~
こんな・・・
いつの間に・・・
怒りよりも先に恐怖で身体が冷たくなった。
みちるは狂っている。
俺は慌ててその写真を拾うと一枚一枚丁寧に細かく破いた。
そしてそれを封筒に入れ、もう一度カバンにしまった。
有絵・・・
ごめん・・・
俺のせいで・・・
俺は退職届けを出し、大学講師を辞めた。
有絵の葬儀が終わると、すぐに引越しもした。
有絵の家族にも縁を切られ、実家に帰る気もなれずしばらくはただ毎日ぼーっと過ごした。
まっさらなキャンバスを何時間眺めていても、何も浮かんでこない。
このままではいけないとわかっているが、誰かと関わる気にはなれずにいた。