Vrai Amour ~斗真の場合~
3.暗闇の中で
数ヵ月後

季節はすでに冬へと移り変わった。

一人で借りたアパートには最低限の荷物しかなく、暖房器具は置いていない。

ひたすら厚着をして布団に包まる。

窓を見上げると、いつの間にか白い柔らかそうな雪が静かに降り積もっていた。




そろそろ働かないといけないんだが・・・



そう思いながらも、なかなか外に出る気になれない。





時折コンビニに置いてある求人誌を持ち帰ってはみるものの

殺風景な部屋の隅に山積みになっていくだけ。



「・・・有絵」


窓の外を眺めながら、独り言のようにつぶやいてみる。

その声はどこにぶつかることもなく、冷たく冷えた部屋の中に消えた。
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