Vrai Amour ~斗真の場合~
4.狂愛
それから半年、俺は一人フランスに渡りただ絵を描いて過ごした。

その絵は有絵と描いたようなものではなく、ドロドロと暗い絵ばかり。

だけど、描けば描くほど心はすっきり晴れていったようにも思える。

そして半年が過ぎようとしたころ、俺は友人のツテをたどり

再び日本に戻って仕事をすることになった。



「え?」


仕事の条件を聞いて、耳を疑った。


「今、なんておっしゃったんですか?」



俺を売り込んでくれるという女性は、今まで見た女性の中でも

一番と言っていいほどの美人だった。

なんでもどこかのお嬢様で、今は旦那を亡くし未亡人

そうは言うものの、どこか艶めいていてとても40を超えているようには見えなかった。


「うちの娘をたぶらかして捨てる、どう?簡単でしょう?」


そう言って微笑む口元はとても妖淫で魅力的だった。
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