Vrai Amour ~斗真の場合~
でも、言ってることがおかしい。


自分の娘をそんなふうにさせる親がどこにいるだろう・・・


出来ません、そう言おうと思った口がふさがれる。

ピンクベージュのマニキュアが綺麗に塗られ整えられた指先で。



「・・・いいの?神島みちるのことバラしても」


再び微笑んだ唇が一緒にいた男のそれと重なる。

この男はこの人の何なのか。

男のほうは女よりずいぶん若く見える。


「誰にバラすんですか?バラされて困る相手なんかいませんが」

強気でそう返したが、正直内心ひやひやしていた。

「神島ってね、意外と大きな家なのよ。あの子、無事子供は産んだらしいんだけどね。どうやら育児放棄で離婚するらしいわ」

あいつがどうなろうと俺には知ったこっちゃない。

「それにみちるは私の姪っ子なの」

再び微笑んだ唇がにやりと歪む。

「・・ぐぅ」

途端に俺は吐き気がした。

あの頃のみちると同じだ。

狂ってる。

そして、俺はその輪の中から逃れることは出来ないのだろうか
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