Vrai Amour ~斗真の場合~
「うなづいてくれるかしら?」

あごを持ち上げられ、視線の先に潤んだ瞳が揺れている。

素直にうなづくことは出来ず、その指先から逃れ視線をはずした。

「じゃあ、よろしくお願いするわね」

そう言って、その女は立ち上がった。

すると、男がすっと女の腰を捕まえる。

隣の部屋の扉が開かれると、大きなベットが見えた。

するりとその中に滑り込むと閉じていく扉の隙間に女の素肌が見える。




・・・愛人、か。




テーブルの上に残された小切手と、写真。



写真をまじまじと見てみると、そこに写っていた女の子はあの女にはあまり似ていない気がした。

化粧気のないナチュラルな顔。

服も割りと地味に見える。





桐島美空




これから俺が非常勤講師として働く大学の4年生だった。
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