Vrai Amour ~斗真の場合~
「・・・先生」
「ん?」
「・・・私が、赤ちゃん欲しいって言ったら・・・・どうする?」
心臓が止まるかと思った。
有絵のことが一気に思い出され、指先が冷たくなっていく。
しばらく間があって、美空は慌てて否定した。
「・・・あ・・う、嘘。冗談です・・・忘れ・・・あぁっ」
そう言って、身を翻し背中を向けた腰を引き寄せ、俺はいきなり美空の中に押し入った。
きついと思った美空の中はあっという間に俺を飲み込み、その熱で包み込んだ。
そのあとはなんだか無我夢中で断片的にしか覚えていない。
美空・・・美空・・・・
君が好きだ・・・
心の中でずっとそう繰り返す。
そして・・・
「・・・先生・・っ・・・もっと、欲し・・・っ・・もっとぉ」
初めて美空が自分から欲しがった。
それだけは覚えている。