Vrai Amour ~斗真の場合~
だけど、俺には有絵がいる。

しかも有絵のお腹には宿ったばかりの小さな命も・・・

正直みちるはあの夜出会ったみちるとは違う。

普段は授業もしっかり受けるし、成績も悪くないが

すべてのことをあきらめてしまっているように思える。

そういう相手を刺激するのは危険だということもよくわかっている。



「ふふふ、困ってる先生の顔、すごくセクシー」



みちるはそう言って、俺の頬を手のひらで包み込んだ。




「こんな先生のあんな激しい姿知ってるのは多分あたしだけね」


ドキッとした。


あんなふうに自分の欲情だけを相手にぶつけるようなセックスは有絵にすらしたことがない。

有絵は12年経った今でも抱くときに緊張する。

そっと優しく触れて、壊れないように大事に抱きしめる。

たとえそれで満たされなくても、幸せだと思っている。



「初めてなのに、先生ったらすごく激しいんだもん。痛かったのに」


気がつけばみちるの腕が俺の首筋に絡まり、グロスを塗ったつやつやした唇が目の前に迫っていた。
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