瞳の中の彼

『何か思いつめているような気がして...』

「...」

『学校は休むの?』

「あぁ...」


その時銀二さんが携帯を取り上げる。


「あ...」

「葵ちゃん?俺、銀二く~んだよ!」

『あっ!銀二さん?』

「楓の事は心配しなくていいぞ。もうカタついたから。」

『カタ?』

「そっ!だから安心して勉強しておいで。」

『ん...わかった。じゃぁね、銀二さん』

「おう!またな」


銀二さんは通話を切ると携帯を俺に返す。


「ほれっ、妹に心配かけさせんじゃねぇよ! 男が出来てもお前の事すげー心配してくれてんじゃねぇか。このままだと葵ちゃんは、お前に遠慮して幸せを手放すかもしんねぇぞ。」

「...」

「あとは、自分で考えろ。葵ちゃんを縛り付けておくか、それとも幸せになってもらうか。...」


そう言葉を残し銀二さんは部屋を出て行った。


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