瞳の中の彼
「楓!しっかりしろ!!」

理玖さんが楓の身体を抱き寄せた

段々と顔色が薄紫色に変わってくる

呼吸をしていない
こんなことってあるのか?

「どうなさいました? 大変!先生!」

看護婦が慌てて ナースステーションへと駆け込み

酸素吸入器や点滴など持ってきてすばやく処置した

「あいつ 自分の所為だと攻め続けているんだ...自分の所為で葵が酷い目にあったって」

「・・・・・」

理玖さんは楓のことを話はじめた

「楓と葵を離そうと思ったんだ 葵を両親と一緒に住ませようとしたんだけど 楓が拒んだんだ 『葵は俺が一生面倒見る』って 馬鹿だよ アイツは 自分も息でないほど つらいのに...」


俺達は何も言えなかった

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