氷豹
梨花という女が睨んでくる。
だが、ちっとも怖くない。
ああ、臭いなぁ。
「ちょっと何か言いなさいよ!」
「臭い、退け、帰れ。」
――パンッ。
甲高い音が溜り場に響く。
下にも響いたのではないだろうか。
もちろん平手を食らったのはあたしだ。
叩かれる意味が分からない。
「ふざけんじゃないわよ!ちょっと可愛いからって調子にのりやがって!」
「此処はお前が来ていい場所じゃない。二度と来るな。」
――パンッ。
「お返しだ。やられっぱなしは嫌いだからな。」
・・・・・・。
やっと帰った。
痛くなかったが赤くなっている。
「陸は?」
「女ン所。」
「そうか。」